修学旅行の奇妙な事件 〜東京って怖いと思う理由〜

高校生の修学旅行は、北海道の公立校の場合、ほとんどが東京・京都・鎌倉だったように思う。船+寝台特急で移動するだけでも疲れるような旅行だった。この話は東京での一日の妙なできごとを書いてみた。

東京では待ちに待った「自由行動」、朝から好きなところに出かけ、夕方ハチ公で待ち合わせというものだった。皆の行く先はおおよそ・・・当時、流行っていた「原宿」「自由が丘」周辺だろう。私たちも「原宿」を予定していた。 それぞれ、数名のグループに分かれ、グループ行動。私のグループは、私の他にAさん,Bさん,Cさん,Dさんの4人。でもその日はCさんとDさんの二人が、親戚などと共に行動するということで分かれた。行く先も聞いていなかったのだけど・・・。(←これ覚えておいて下さい)

さて、私たちは3人で電車に乗り一路「原宿」へ!地図をまかされていたのは、この方向音痴の私(笑)というより、他の二人は「別にどこでもいいや〜」という感じだったので、先導しただけのことだった。 ところが、その日私は妙な胸騒ぎに襲われていた。数日前に待ち合わせ場所になっていたところで、「通り魔殺人事件」が立て続けに3件ほどあって、その印象が強かったのかどうか、気分が悪かった。疲れもあったのかもしれない。電車に乗る直前くらいから眠気でぼーっとしていた。 気が付いたら、「池袋」

なんと反対の方向の電車に乗ってしまったのだ。「いっけな〜〜い!」あわてて降りて、「どうする?ここでもいいかぁ〜〜」なんて話しながら歩きかけたその時、構内の人込みが一瞬、一方へ向きを変えた。私たちも流れに身をまかせて同じ方を向いていた。「おいっ!!」誰かが大声で怒鳴った。何事?かと耳を澄ませる。皆、ぎゅうぎゅう詰めになりながら、不思議と静まり返った

・・・その瞬間、「キャ〜〜〜ッ!」

誰かが飛び込んだ。
次の瞬間、電車が来た。
ここにいると、つぶされる・・・と思った。電車を待っている人込みがヤジ馬に変わる。それまで、興味のなかった人もあちこちから、集まって来て押しつぶされそうな勢いだった。「早くここから、出よう」私はさっさとその場を去る事にした。気にはなるが、こんなことで、貴重な自由時間を無駄にしたくない。 池袋といえば、サンシャイン60とか・・・・(それくらいしか思い付かない)まぁ、ここでもいいじゃない。もう電車に乗る気力もなく、残りの時間を池袋で過ごす事にした。 待ち合わせの時刻。別行動をしていた、友人も帰ってきた。

私たちは口をそろえて言った。「いやー、大変だったのさー、結局原宿にはいけなかったー。」
すると、Cさん、そんな私たちに負けじと息を切らせて 「あたしだって、大変だったんだからー!親戚と買い物に行って、移動しようとしたら、駅に救急車が止まっていて担架で誰か運ばれてくるじゃない。人込みでパニックになっていて、動けなかったよ〜〜〜!」

「いや、私たちなんてね・・・・あれ、Cちゃんどこ行ってたの?」

池袋

「・・・。」

と、そこにDさん到着。
「いやー、大変だったわ〜。
ちょっと事件があってさぁ〜」

「それどこ?」

池袋

なんと、別行動していた私たちが、全員あの事件直後に同じ駅に居合わせたらしい。
あの瞬間、落ちた青年を見てはいないが、直後の人々の顔つきが今でも忘れられない。あの驚きの顔が一瞬にして「ワクワク」した顔つきに変わった。あの時から、東京は怖い街という印象をぬぐいさることができない。

| HOME | TOPページに戻る |

since 2000.2.12
Copyright c 2000 TORA - All Rights Reserved.
inserted by FC2 system