あのカンタス航空が!?

とらは、結婚式をシドニーで挙げた。だんなも私も地元で「結婚式」をするとなると、何かと面倒な仕事柄、市内のホテルで・・・なんてとんでもない話。とっとと二人でオーストラリアへ渡った。

オーストラリアの飛行機会社は、あの無事故で有名なカンタス航空。なんで、事故がないのか・・・といえばめちゃくちゃ慎重だという話もあるが、乗ってみて「行き」は、まぁ普通だった。ところが、「帰り」が大変だった。

「魔」の数時間のはじまり
夜、確か7:00くらいの便に乗ろうとロビーで待っていた。搭乗時間が近いというのに、何も案内がない。待っている人たちはざわざわしはじめた。「煙!!」誰かがそう言うと、あちこちから人が集まってきて、ロビーは一瞬パニックになった。ガラスの向こうにうつる大きな機体から、白いものがあがっている。急に航空会社の人たちが忙しそうに往復し出したと思ったら、「そのままでお待ち下さい」とアナウンスが入った。

オーストラリアは、当時「ハネムーン」のベスト5に入っていて、私たちのようにハネムーンとして、来ているカップルが多かった。けれど、商用で来ている人もいる。時間を急ぐ人はイライラしながら、次のアナウンスを待っているようだった。そこへ、担当の人がきて、事情を説明し始めた。どうやら、今夜は航空会社で用意したホテルに泊まって、明日の便まで待ってくれ・・・とのことである。そして、何グループかに分けてバスを用意しているから、それに乗るように言われた。「え〜〜、うそでしょう?」大体空港まで1時間くらいバスに揺られてやっと着いて、ロビーでも待って、これも安いツアーだから仕方ないかぁ〜そう思っているのは私たちだけではないようで、あちこちで、ため息が漏れてきた。時間も時間だったし、みんなは機内でディナーを食べる予定で、おなかもすいていた。それに、日中十分にスケジュールをこなし、さんざん疲れてはいたけれど、これで日本に帰れる〜〜そんな時間帯だったのだ。

「グループ分け」
大体4つか5つのグループに分かれて、それぞれ違うホテルへと向かった。ヒルトンの人もいれば、ルネッサンスの人もいる。ホテルへ向かうバスの中で、私たちは一番奥の席に座ったが、前の席に座っている人が、担当の人にやたら文句をつけていた。「あ、○○○○さんだ。」テレビでみたとおりの言い方。私たちは文句を言う余裕すらなかったのに、このおじさんが皆の分まで文句を言ってくれた。さすが・・・説得力ある〜〜。少しすっきりした。ホテルに着いたらまたまたディナーのことで、○○さんとホテル、航空会社の人とでもめる。「一体どうなってるのー。君〜〜。バスで1時間もかけてきてるんだから、その間に用意できなかったのー。」どうやら、ディナーの支度が整ってないことに腹を立てているようだった。「あのねー、僕はねー・・・・」このおっさん、話はじめると、長いようである。「ガミガミ・・・」その大きな声と特徴のあるしゃべり方がレストラン中に響いている。ディナーの間に彼の正体に気がついた数名がサインを求めに行っていたが、「プライベートだから」ということで、断っていたようだ。けれど、こんなアクシデントの時には、いて欲しい芸能人の一人かもしれない。ちょっとうるさかったけど、なんだかんだいってこの○○さんのおかげで、食事がちょっと早くなり、部屋への案内もスムーズになった。あ、部屋まで近い。本館と別館があって、○○さんと私たちとは別館へ案内された。

「キレイなホテル・・・だけど」
とにかく、今日は眠ろう・・・。さて、良く考えるとスーツケースは空港に置き去りなんだよな・・・。手持ちのもので顔を洗ったり、髪の毛を整えたりしなくてはいけないのか・・。今になってやっとそのことに気がついた。帰りはなんでもスーツケースに詰め込んでしまいがちである。そのために大事なものが、機内で出せないはめになる。「あ〜あ、タオルの一枚くらいはだしとけばよかった・・・」なんとな〜く、ホテルに備え付けのものだけでは、もの足りないのである。しかも着替えがない!!パジャマもない!!なんとなく横になっているだけで、熟睡はできなかった。朝もなんとなくホテルの中を回ったりしながら過ごした。落ち着かない。ここには、添乗員もいないし、担当の人たちも帰ってしまっていた。ホテルで今回の珍客に対して、アナウンスがある訳でもないし、ただただ飛行場へ行バスの時間には絶対遅れないように各々注意されていたのだ。唯一、○○さんと一緒の館にいることだけが、救いだった。何か間違いがあったら大声で人を呼んでくれるだろう。いよいよ、バスの時間がきた。

「あせる」
私はどちらかというと、予定より早く動かないと心配なタイプ。ダンナはというと、逆である。逆算して無駄な時間をつくりたくないのだ。あと数十分でバスが来る・・・という時に、「ちょうどいい」といって部屋を出た。朝散歩した廊下を通りぬけて、本館へと向かった。丁度、後ろから○○さんも出てきた。距離的にはけっこうあるのだが、これで帰れると思うと足取りは軽かった。そのテニスコートを抜けると本館への入り口がある。「ありゃ、開かない・・・。」

テニスコートに入るところに鍵がかかっていたのである。なんてこと。あとここを抜けるだけだというのに、こんなところで足止めされるなんて〜〜〜。でも、どうしたって開かない。○○さんも追いついて、「どうかしたの?」といいながら金網をガチャガチャやってみた。「これは、いかんなー」「朝は開いてたんですー」そんなことを言いながらも3人はあたりを見回し、どこから行けばいいのか探していた。どこかにホテルの人がいればいいのに・・・。でもこういう時に限ってホテルの人には会わない。掃除のおばちゃん・・・ま、こっちにはいないか〜そういうひとですらいない。とにかく自力で脱出しなくては・・・、私たちの中に緊迫したものが流れてきた。どうしよう。あと数分。このホテル案内図くらいないもんかねー。

「偶然」
どこをどう歩いたのかわからない。とにかく必死で本館のロビーに向かった。たぶん走っていたのだろう。みんなが集まっているところにたどり着いた時には3人とも息があがっていた。なんとか間に合った。点呼をとって、もし私たちがいないのに気がついたらどうしてただろう。その疑問はすぐに打ち砕かれた。なんと人数も確認せずバスは発車。ちょっと〜、そりゃないんじゃないのー。もう少し遅れていたら・・・、こんなへんぴなところで一泊したって、遊ぶところもないし・・・「ゴールドコースとならいいのに」と、ダンナはノウテンキである。○○さんは疲れたのかひとことも言葉を出さず、腕を組んでいた。それにしてもカンタス・・・こんな細かいところまでは行き届かないのが現実らしい。

「○○さんとは・・・」
気になったあなたにこっそりヒントを出そう。
○○さんは、俳優であり、エンターティメントで、幅広い活躍をしている中年のおやじさんである。奥さんが宝塚出身の女優。息子二人とも俳優で、「性格俳優??」として、有名である。弟の方は「お笑い」でもいけるとの評判も一時期あった。こんなんで、わかるよね?この人に怒られたらちょっと反論がむずかしそう・・・。なにもこんな時にこの人に・・・という感じで、今回はちょっと「疲れ」を忘れさせてくれる存在でした。感謝。

| HOME | TOPページに戻る |

since 2000.2.12
Copyright c 2000 TORA - All Rights Reserved.
inserted by FC2 system