あまん きみこ ぶん・二俣 英五郎 え
はじめ、きつねはひよこを食べようと思って近づきました。食べるために太らせようと出したごちそうだったのです。だけどひよこの方は「親切で優しい」ときつねのことを全く疑わなかったのです。そのうち、あひるやうさぎまでやってきましたが、親切なきつねのことを「神様みたいな」なんて言うものだから、すっかりその気になったきつねは、自分たちを食べにきたおおかみと勇ましく戦って死んでしまったのです。でもその顔はちょっぴりはずかしそうで笑っていたということです。
アニメなどを見ると、大怪我をしそうなことでもすぐに立ち上がったり、死んでもすぐに生き返るところがあるので、「死」に関しては軽くみられがちだと思います。それを疑似体験できるのが絵本のいいところ。「死に様」を考えるということは、同時に「生き方」を考えるということ。どう生きるのか、どう生きたいのか。その人が何をなし得たのかは死ぬまでわからない。生命はとても尊いものなのだということ。
ひよこはなんてラッキーなんでしょう。それを意識していないので、本人はラッキーだとは思っていないところがミソ。信心深いひよこ?なんでしょうか。こういった素直な行いが救いとなる世の中がいいですね。
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