絵本と右脳教育
 

絵本の感想など

2002年 10月   てぶくろ
ウクライナ民謡
エウゲーニー・M・ラチョフ え・うちだ りさこ やく

おなじみの昔話ですが、とってもとっても不思議なてぶくろですよね。よくもまぁこんなに入るものかと笑ってしまいます。いのししが入っちゃうところでは、いかにもてぶくろがきつそうな感じですが、くまはどうやって入ったんでしょうねぇ。想像するとおかしいです。でも、森の中ではこういうことがあってもおかしくないようなぁ〜なんて思ってしまうほど、森って神秘的なんですね。




2002年10月   きつねのおきゃくさま
あまん きみこ ぶん・二俣 英五郎 え

はじめ、きつねはひよこを食べようと思って近づきました。食べるために太らせようと出したごちそうだったのです。だけどひよこの方は「親切で優しい」ときつねのことを全く疑わなかったのです。そのうち、あひるやうさぎまでやってきましたが、親切なきつねのことを「神様みたいな」なんて言うものだから、すっかりその気になったきつねは、自分たちを食べにきたおおかみと勇ましく戦って死んでしまったのです。でもその顔はちょっぴりはずかしそうで笑っていたということです。

アニメなどを見ると、大怪我をしそうなことでもすぐに立ち上がったり、死んでもすぐに生き返るところがあるので、「死」に関しては軽くみられがちだと思います。それを疑似体験できるのが絵本のいいところ。「死に様」を考えるということは、同時に「生き方」を考えるということ。どう生きるのか、どう生きたいのか。その人が何をなし得たのかは死ぬまでわからない。生命はとても尊いものなのだということ。

ひよこはなんてラッキーなんでしょう。それを意識していないので、本人はラッキーだとは思っていないところがミソ。信心深いひよこ?なんでしょうか。こういった素直な行いが救いとなる世の中がいいですね。



2002年10月   とらっく とらっく とらっく
渡辺 茂男 さく・山本 忠敬 え

「じぷた」や「ローラ」と違って、車が活躍するというよりは、何をしているのか細かく知ることができる絵本です。私はこれをみてはじめてローリーが引きづってる鎖の意味を知りました(笑)と、これは誰もが知ってることではありますが、それをこどもに説明するとき、わかりやすい言葉でとなると悩んでしまうものですが、この本を読むと「トラック」をかなり詳しく説明できるようになります。

ミニカーで遊ぶのが好きな子は、はまります。遊び方の幅が広がって、ますますマニアックになりますよ。



2002年 2月   しょうぼうじどうしゃじぷた
渡辺 茂男 さく・山本 忠敬 え

「のろまなローラー」とおなじように車が主人公の絵本ですが、小さくて目立たない存在の「じぷた」がちょっとしたきっかけで大活躍するというお話です。この「じぷた」という名前がとても馴染みやすく、まるで実在するかのように思え、消防署の前を通るたび探してしまうほどです。

人にはそれぞれ役割があって、得て不得手があるということを認識させてくれます。男の子には特に人気があるようです。



2002年 7月   のろまなローラー
小出 正吾 さく・山本 忠敬 え

地道にコツコツと作業しているローラーを、ぴかぴかの車たちがスピードをあげて追い越していきます。追い越していった車たちは、やがて山の途中の道で止まってしまうのです。でこぼこの道にタイヤやエンジンがやられたんでしょうね。それに気がついたとき、はじめてローラーのありがたさを感じるのでした。

目立たないけどがんばりやさんのローラー(という設定なのかどうか?)、いつか認められる日が来るんだなぁとホッとします。現実社会はそんなに甘いものではないけど、少なくても自分は誰かの役にたっているということ、考えさせられるいい絵本だと思います。



2002年 10月   はけたよはけたよ
かんざわとしこ ぶん・にしまき かやこ え

たつくんはひとりでパンツがはけません。途中で転んでしまうのです。あきらめて外に出ると動物たちに「しっぽ」がないとひやかされます。うまく片足で立ってる「さぎ」の真似をしてみたけど転んでドロだらけ。家に帰ってお尻を洗ってもらうとお母さんがズボンを縫ってくれていたのです。もう一度がんばってみるとパンツを履くことに成功。お母さんの愛情たっぷりのズボンなら、動物だって持っていません。

2歳くらいの子が「ひとりでやりたい」、でも「できない」もどかしい気持ちが可愛く描かれていて、なんだズボンはお尻をついて履けばいいんだと気づかせてくれる絵本です。うちでは、1号も2号もたぶん3号も保育園でおしえてもらうので、いつのまにか履けるようになっていましたけれども、ズボンだけでなく、靴下やボタンつきの服など、なにかしらコツがあるものです。それをこちらが教えてしまったらこどもは面白くないもので、その小さな発見こそ自分で見つけたいのです。さりげなく動作を強調してみたり、こういう絵本で見せてあげるのは、とっても効果があることだと思います。



2001年 8月  あさえとちいさいいもうと
筒井 頼子 さく・林 明子 絵

ある日、小さい妹と留守をあずかります。寝ていたのに起きてぐずっている妹の機嫌を直そうと、家の前の道路に絵を書いてあげていたら、そっちの方に気をとられているうち、妹がいなくなっていました。あわてて探すも、どこにもいなくて、自転車の急ブレーキの音などを聞くたびにドキドキするのでした。

その探す最中のあさえの心境を見事にえがいています。2号もあさえになりきって、ハラハラドキドキ。妹が見つかった時の喜びようったら、心底ホッとしていたようです。私の家の近くの交通量が激しいところでは、絶対に子どもたちだけで留守番なんて考えられませんが、家の中でも似たようなことがあります。

三男をお風呂に入れている間に、1号(長男)に2号(次男)を任せていました。まだ独りでは便座に座れない2号がトイレに失敗すると、1号は責任を感じてパニックになっていました。

この絵本を読んでいると、1号と2号の感動する場面が違うので面白いです。お兄ちゃんはやはり深いところで感じているようです。



2001年8月   これはのみのぴこ
谷川 俊太郎 作・和田 誠 絵

たにかわさんの早口言葉のような詩?に、すっとぼけた感じの和田さんの絵。
はじめにのみのぴこを紹介して、その「ぴこ」を取り巻く環境を少しづつ説明していくのですが、面白いのは文章が必ず「これはのみのぴこ・・・」からはじまっていることです。つまり、ページを重ねるごとに文章が長くなってきて、「ぴこ」つながりがとんでもないところまで転がっていきます。果たしてこの行方は・・・。

これを普通に読んでしまっても、もちろんおいしいのですが、私は一息に読んでいます。もしかしたら、そのためにこの本はあるのでは?と思うほどしっくりきますよ。後半はかなりきつくなってきます。途中息継ぎをしないので、子どもたちもびっくり。真似してもできるものではありません。「ふっふっふ、まいったか!」時々は尊敬されたいもん。



2001年 8月   ラブ・ユー・フォーエバー
ロバート・マンチ さく・乃木 りか 訳・梅田俊作 絵

一時ブームになった絵本で、今でもキャンペーンの時にピックアップされる本です。
お母さんが我が子を思う気持ち(ちょっと気持ち悪いほど)をあらわしている内容です。どんなに悪い子でも、夜になりぐっすり眠っているのを確かめると抱っこして「愛している」と歌うのです。

思わず涙が出てきてしまう絵本なのですが、反面「大人」になった息子を抱っこして・・・というあたりはさすがアメリカ・・・でも気持ちはわかる・・・みたいなところがあります。昼間は「動物園にでも売っちゃいたい」なんて言ってるくせに、眠っているのを確かめてから抱っこするのです。

これって、「睡眠学習」??というのは冗談ですが、その息子がやがて自分の赤ちゃんにも同じことをしてあげてるのを見ると、親としてちょっと救われるところがあります。お話ではありますが、昼間どんなに悪態をついていても、どこかで愛情を表現しなくちゃねと受け取っておこうと思いました。



2001年 8月   100万回生きたねこ
佐野 洋子 作・絵


この本に登場するねこはいやなキャラクターでした。100万回も生き返ってそれを自慢げにして、みんなにちやほやされているねこでした。自分が一番好きだったのです。

ある日、その自慢をまったく気にかけない白ねこに出会います。はじめは怒っていたものの、だんだん惹かれるようになり、やがてその白ねこと家庭を築くのでした。誰かといつまでも一緒にいたいと思うようになったのははじめてでした。でも、歳をとり、愛しい白ねこは死んでしまったのです。悲しくてはじめて泣いた主人公も死んでいきます。もう生き返らなかったのです。

何度読んでも涙があふれる絵本です。はじめて見た時は本屋さんだったのですが、オイオイ泣いてしまい、近くにいた人は何事かと同じ本を手にとったところ、やっぱり泣いていました。その人は「これ、読んだことあるのに・・・」と言ってました。
2002年 9月   海は広いね、おじいちゃん
五味太郎 作・画

しかけはなくても、しかけ絵本のような感じです。あれあれ〜〜と思っていたら、あれ〜〜で。もう一回読みたくなります。2回目、3回目でやっとわかることが出てきて、まだ何かあるんじゃないか・・・などと勘ぐりたくなる絵本です。2号は、この本がとっても好きです。特にあやしいおんなのひとからもらうクッキーが、妙においしそうだからだと思いますが、ラストシーンの意味にはまだ気がついてないようです(2,3歳時)。もう少しすると、この意味に気がついて、面白みも2倍になることでしょう。こんな発想の転換は大人も勉強になると思います。



2002年 10月   おふろだいすき
松岡 享子 さく・林 朋子 絵

ひとりでオフロに入れるようになる頃、これを読んであげるといいでしょう。
どこにでもあるアヒルのおもちゃに「プッカ」という名前がついていて、これを読むとプッカはもう実在のアヒルで、お友達です。

プッカと主人公がお風呂に入っていると、次から次からお客さんが出てきて一緒に遊びます。それは、あんなに狭い(?)オフロの中ではありえない大きな動物だったりしますが、そんなことおかまいなし。お母さんの声が聞こえてくると、一斉にいなくなってしまいます。この辺はエッツの「もりのなか」と同じですね。こういう想像の世界にどっぷりつかっているのだから、「早くあがりなさい」なんて言わないことにしました。




2002年 9月  ナヌークの贈りもの
星野道夫 写真 文

「命」について語る時に、この本を使っています。鳥肌の立つ絵本です。

星野さんは、長いことアラスカで写真をとりつづけていました。その生き様のようなものがこの絵本に凝縮されていて、力強い説得力があります。
氷の世界の王者ナヌークと言われるシロクマが若者の問いに答えます。いのちはつながっているものだと。みんな、大地の一部なんだと。
「・・・おまえがいのちを落としても、わたしがいのちを落としても、どちらでもよいのだ」

食べることは「いのち」をいただくこと、そう思うようになったのはこの絵本を読んでからです。あたりまえのことなのに・・・。気が付いていたんだろう・・・。でも、それを子どもに説明するのは難しいのです。これを見せたら、これを読んであげたら今にきっとわかってくれると思います。



2002年 9月   あーんあん
せな けいこ さく え

せなけいこさんのきり絵の本です。「いやだいやだ」とシリーズになっています。これは子どもが保育園や幼稚園にはじめて行く時などに、活躍してくれそうです。

保育園に行くのはいいけど、お母さんが帰ってしまうので泣いてしまい、みんなと泣いているうちにお迎えがくる・・・というような内容です。誰もが経験する寂しさを素直にあらわした絵本とでもいいましょうか、結局は助けられるところがポイント。

そう、こどもは、お母さんが迎えに来てくれるということに絶対の確信があって泣いているのだと思います。どこかで「仕方がない」というあきらめの気持ちが育っているのでしょうね。だから、この本を読んであげると「ん〜〜ボクもそうだった。わかるよ。」と賛同しているようですよ。この本を通して子どもの成長が伺い知ることができる〜なんとも感慨深い一冊です。(ちとオーバーでしょうか?)



2002年 9月   もこ もこもこ
たにかわ しゅんたろう さく・もとなが さだまさ え

美しい色合いの奇妙な形の絵に、たにかわしゅんたろうさんの面白いことばがくっついて、大人も楽しめる絵本です。ページをめくるたびに形がちょっとづつ変化しています。その状況を手で真似しながら・・・たとえば「もこっ」といいながら手を丸めてお山をつくったり、「パチン」というところで、手をたたいたり・・・親子で顔を見合わせながら遊べます。

とっても単純な言葉なので、子どもはすぐに覚えて何度もやりたがります。自分でも何度も開いてますが、やっぱりお母さんと一緒に遊びたくて3回に一回は持ってきます。前のページと後ろのページがつながる「くりかえし絵本」(勝手に名前をつけた)になっていて、つまり最後の方はスタートの内容に戻るという意味なのですが、こどもはそういう内容が安心できると言われています。

うちの場合は、おしまいの先にまだ何かあるのではないかと、表紙をはがそうとしていました。その気持ちはわかるが・・・やめてぇ〜〜〜っ!!
絵本の目次
 
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