まほうの会へ誘われたあの後、
「ばあちゃんちに行きたい!!」
思い出したかのように1号が言い出した。

そんなこと言ったって、ダンナは仕事でいないし、
いつも迎えに来てくれるじいちゃんも
この時間に連絡もしていなければ、予定を入れてるだろう。

「車がないよ。」
冷たく言い放った。
「いやだ。いやだ。ばあちゃんちへ行く!!」
こうなると、ガンとして言い分を曲げない1号だった。

「じゃ、じいちゃんがおうちにいるかどうか電話してみたら」
電話をかけるとばあちゃんが出て、
案の定、じいちゃんはもう出かけた後だった。


大体の土日は、1号が誰かに車で送ってもらい、
そのまま一人で泊まって日曜日に帰ってくる。
休みでダンナがいるときは迎えに行ってもらうこともあるが、
可能性はめちゃめちゃ薄い。

泊まりたければ、土曜日の朝のうちに祖父母宅に
連絡しておかなければ予定がつかない。


じいちゃんが不在だと知ってもなお、あきらめる様子がない。
「行くのぉ〜〜〜!!」
電話で泣き叫ぶ1号。
急に里心がついたのか・・・Mちゃんのおばあちゃんを見たからか・・・。

こうなると、ばあちゃんは弱いものでなんとかしてあげたいと策を練った。
時間が時間でもう暗いし、ごはんの時間・・・。
「地下鉄の駅まで来てくれたら連れて行けるんだけど」
どうやら、こちらの駅まで乗ってきてくれるらしい。


うちから一番近い地下鉄の駅は、すぐ目の前。
だけど、その駅からひとつ先の駅に中継地点があり、
ばあちゃんちへ行くには、その大きな駅から乗らなければいけない。
でも、うちのそばの地下鉄出入り口からその大きな駅まで
地下道で結ばれていて、一本道になっている。

とらが、そこまで送っていければ何の問題もないんだけど、
最近地下鉄を見ると興奮する2号は、乗り場もチェックしていて
出入り口の階段を降りると、もう自分が電車に乗れると思い込んでいる。
そんな2号を連れていったら大変だ。


「え〜〜、わかんない〜〜」と、1号。
そうだろうとも。
家の近くでも迷子になるくらいの1号だからな。
「どこまでもまーっすぐ、階段おりたらまーっすぐだから」
ばあちゃんも必死に説明。
「階段ってどこのさー」しばらく押し問答状態だった。
こいつに説明するのは難しいぞ。

う〜〜ん、この年頃なら、一人で地下鉄に乗ってもおかしくないのだけど
今まで保育園で忙しかったから、出かけることなんてなかったせいもある。
ただでさえ、地下鉄なんか一年に一回くらいしか利用しないし、
2号が生まれてからというもの、デパートに行くこともなくなったし、
祖父母宅に地下鉄で行くときは、問題の地下道を通らずに、
すぐに地下鉄に乗って、乗り換えて行くのだから・・・。
1号にとって、その道を通ったのは数年前に一回くらいだろう。

仕方なく、駅の名前と地図を書いてポケットに入れさせた。
方向音痴はとら譲りかもしれない。
約束の時間に合わせて1号を出した。
電話ではあんなに不安そうにしていたのに、
よっぽど行きたかったのか、キリリとした顔つきになって飛んでいった。

数十分後・・・。
ばあちゃんから電話があった。
「ついたよー。」
なぜ、笑ってる?
「階段降りてすぐに人に道を聞いたんだって。
そして、少し行って又聞いたら、そのおじさんんが
おんなじ方向に行く人だったから、一緒にって、
手をつないで歩いて来たわー。なーんも心配ないー。」
ははは・・・だけどそれが心配なんだって。
誰にでもついていくからさ(悪)

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